美味しいものを「食べる」から「味わう」へ

【エッセイ】

若い時。

何を食べても美味しい。特にジャンクフードは最高の食べ物。友達とマクドで何時間もおしゃべりできた。食べ物が美味しいのか、友人と過ごすその時間がハンバーガーの味を美味しくさせるのか。

子供が生まれ、「食べる」が変わった。

カレーの味は甘口。うどんも細かく切って喉につまらないようにしてやる。温かい食べ物をすぐに食べる時間もなく、冷めてしまってから食べるのが日常になった。

座って食べることよりも、食べられる時に食べる。なんならキッチンで立ち食い。

子供がある程度一人前に食べられるようになると「質より量」

安く仕入れることができるスーパーに買い出し。割引シールが貼ってあれば目が輝く。賞味期限を確認してカゴへ投入。

今日

昔から仲良くしている保育園時代の2家族と「肉」のお店へ行く。この2家族とは苦楽をともにしてきたメンバーで、ことあるごとに食事会をしてきた。

年末忘年会!新年会!入学・卒業おめでとう会!

今までの食事会は必ず子供がいた。全員そろうと13人。

我が家に集まり、鍋パーティーだ、バーベキューだ。もう誰が誰の子供かわからない状態。

今日の食事会に子供はいない。大人だけの食事会。

いつもは誰かの家だったのが、電車で都会のおしゃれなお店へ。8人程度しか座れない予約制のお店。

階段をのぼると『L字型』のカウンター席しかなく、座に着くと木の箱が開けられ『「お箸」をお選びください。』と。一膳一膳違うお箸の中から好きなお箸を選ぶ。

演出が面白い。(お箸は食後に持ち帰ることができる)

「ではコース料理を始めさせていただきます。」

『〇〇産のお肉です。』一品一品お店の方の紹介がある。お肉はお肉でも“牛”だけではない。

『鶏・馬・熊・猪・豚・鹿・羊・鴨・牛・穴熊』食べたことのない“お肉”が並ぶ。

出てくるお品の演出が面白い。

調理されたお品とともに動物の置物が並べられ最終的に動物の列ができる。

普段の生活では味わえない食事会がスタート。

それぞれの家族が近況報告をする中、出てくるメニューに目で楽しみ、舌で堪能する。

「食べる」ことは生きていく上で大切。お腹が満たされれば良いと思っていた日々。

このようにゆったりとした食事は、時間も満たされ、感覚も満たされる。人を優しい気持ちにしてくれる。

食事を“味わう”ことができる年齢になったのだなぁ。

子育て中の「食事」を振り返り、これからは「自分の食事を楽しむ」そんな時間を過ごしていこう。

そんなことを思えた1日だった。

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