『これからをどう生きるか』の準備
子どもが巣立ち、夫とふたりになった家で、ふと思った——
「この家、広すぎない?」52歳、気づけば始まっていた“終活”。
それは、「いつか」のためじゃなく、「これから」のための準備。
引っ越しと片付けを通して見えてきた、新しい暮らしのかたち。
「この家、広すぎない?」
3人の子供たちが小さかった頃、家族で一軒家に引っ越した。
近くに保育園、小学校、中学校。スーパーもあるし、緑地公園もある。子育てには完璧な環境だった。あの頃は毎日がドタバタで、朝から晩まで誰かを送り迎えしていた気がする。
でも気づけば子供たちはそれぞれ独立して、私と夫二人の生活が始まった今年。ふと思った。
「…この家、こんなに広かったっけ?」
これまで何かと必要だった車も、最近は週末にしか使わない。というか、そもそも私、あと何年運転できるんだろう?70歳?いやいや、それは無理かも。
そうなると、この家での暮らしって結構不便なんじゃない?車がないと動けない場所に、将来も住み続けるってどうなんだろう?
頼りたくない。だから、自分で動く。
子供たちに迷惑はかけたくない。
親のために何かを犠牲にして欲しくない。
自分のことは、自分で何とかしたい。
そんな気持ちが少しずつ膨らんで夫との何気ない会話の中にも「この家、手放すかもね」なんて言葉が出てくるようになった。
でも、実際に行動に移すって難しい。頭ではわかっていても、なんやかんや理由をつけては後回しにしてしまう。
そんなこんなで、ようやく動き出したのが52歳の年。
”モノ”との格闘の日々
さて、いざ引っ越すとなると、最大の敵は”モノ”だった。15年分の家族の歴史が詰まった家。何を捨てて何を残すか。これはもう、感情と体力との戦い。その敵をランキングにしてみた。
- 1位 アルバム
子供3人分のアルバム。赤ちゃんの頃からの思い出がぎっしり。棚から全部出してみたら、畳一畳分くらいあった。ついつい写真を眺め始める。止まらない。懐かしさが胸にくる。あー捨てられない💦
…でも、引っ越しの期日は迫っている。
というわけで、文明の力に頼ることにした。「アルバム デジタル化」で検索して、写真をすべてCD-ROMに変換。あんなに場所を取っていた思い出が、今や薄い一枚に収まっている。すごい時代だ。 - 2位 本
読書は私の癒し。まだ読み終わっていない本もあるのに、ついつい新しい本を買ってしまう。結婚してからずっと集めていた本は274冊。ずらりと並んだ本棚を見ているだけで幸せだった。
でも引っ越し先には本を置くスペースがない。
迷いに迷って、ついに決断。
「紙じゃなくても、本は読める」そう言い聞かせて全てを手放すことに。
ブックオフに持って行く
買取価格 → 1243円
ランチ一回分かぁ・・・と思いながらも、スマホで電子書籍をポチる。不思議と寂しさは少し和らいだ。 - 3位 大型家具
新居は2LDK。クローゼット完備。もうタンスも学習机もいらない。問題はこれらをどうやって処分するか。粗大ゴミに出すしかない。粗大ゴミは一度に6点まで。サイズによって値段が変わる。申請するのに電話しないと。市役所の電話が15時までって、ちょっとハードル高い。何度「また忘れたー!」と叫んだことか。
やっと予約しても、今度は玄関まで家具を運ばないといけない。一人じゃ無理。バイト前の息子を捕まえ、寝ている娘を起こし、ようやく家具を外に出す日々。なぜか夫の飲み会が増えてるじゃん💢手伝え!!
目指せ、身軽な生き方
この一連の引っ越し騒動を通して心に決めたこと。
買わない・持たない・欲しがらない
名付けて「3ない運動」
新しい場所での暮らしはまだ慣れないが、部屋の広さがちょうど良くて、空気も心も軽やかになった気がする。
最後に。
引っ越した日の夜、夫がソファに座って一言。
「なんか落ち着かないよなぁー 笑笑」・・・5分後には見事なイビキ。
モノが減って、音が減って、手間も減った。でも、夫との会話が少し増えた気がする。
多分、これが「終活」ってことなのかもしれない。
終活というと重たく聞こえるけれど、本当は「これからをどう生きるか」を考えるための時間。
少しずつ身の回りを整えて、心のスペースを空けていけばいい。それでいいのかも。
コメント